7. トゥイ・タ(水上亭)

 

ホアンキエム湖の一番北、水上人形劇場と対面の位置にトゥイ・タがあります。これは湖上に建てられたベトナム伝統建築として特徴的な様式を帯びています。かつては宮廷が祭礼を行ったり、神々や皇帝を礼拝するところでしたが、同時に支配者や宮廷の各階層に対し、飲食遊興を提供する場所でもありました。現在は一般に開放され、2階はレストランとしてベトナム各地の郷土料理を提供しています。夜は美しい夜景と共に民族音楽の演奏が楽しむことができます。また、1階は喫茶店で、目の前に湖が広がる絶景となっています。

2000年にハノイ出版社から発行されたグエン・ヴァン・ウアン著「20世紀前半のハノイ」によると、トゥイ・タが建てられる前はここは玉湖館という酒館でした。女将のトゥオックは接客が巧みで、知識人、法律家、薬剤師、芸術家などが集っていました。1938年から1940年にかけてトゥイ・タは新しいスタイルで再建されましたが、当時はダンスの風潮があり、立地とサービスの良さから千客万来の舞踏館となりました。1954年、ハノイが解放されると、商務省は国営レストラン「トゥイ・タ」の開業を決定し、トゥイ・タは全国民の財産となりました。その後、現在に至るまでトゥイ・タは何回か経営形態を変えてきましたが、そのレストランとアイスクリーム店は常にホアンキエムを訪れるハノイ市民と旅行者の食事処でありました。