バックホアの街

 

今回は我々(私と妻)の学校とゲストハウスがあるバックホアの街の様子をお伝えしましょう。ここは官庁やオフィスがあるハノイ中心街からちょっと南、バスでごちゃごちゃ道路を通って15分ぐらいの近場です。バックホアは漢字で書くと「百科」に相当しますが、ベトナムを代表するハノイ工科大学の各学部が点在する学問の街です。

 

しかし、そうは言ってもアカデミックと思われるのは多分、校舎の中だけで塀の一歩外は何でもありのごったまぜ、沖縄で言うチャンプルーみたいなものです。ここを辛うじて伝えようとすれば、街全体が年末の上野アメ横の喧騒に包まれている中にせいぜい4、5階建ての古い校舎だけが(つまり広々とした芝生などなくて)あちこちに建っていると言ってまあまあ、まあまあ似ていなくもありません。校舎の間のくねくねした細道には川のようなバイク、自転車の流れとその間をすいすい通り抜ける若者の群れがあふれかえっています。そのバイクがベーベーべーべーやたらとクラクションを鳴らすものですから、この街には梢を渡る風のような爽やかな音はあまり聞かれません。道路脇には一膳飯屋、フォー(ベトナム麺)屋、飲物屋(喫茶店とは言いがたし)、文房具屋、フォトコピー屋、製本屋、古本屋等々、学生街特有の店が軒を連ねています。勿論ゲーセンやインターネットカフェだってあります。騒音、掛け声、笑い声。匂いに埃に人いきれ。排気ガス、湿気、熱気、もろもろが混ざり合った独特の雰囲気です。

 

ゲストハウスから大学まで5、6分。大きな交差点を一つ越えて行くのですが、信号はあっても無きが如し。オートバイや自動車は人をうま~く避けてはくれても決して止まりはしないので、最大注意を払って渡らなくてはなりません。

 

ベトナムに来る日本人は、2、3日でこの国が大好きになるタイプと同じく2、3日でイヤになるタイプに分かれるそうですが、我々の場合、ほんのりこの街が好きになってきて、ここにアパートを借りてもいいかなと思いはじめています。 交通の激しい大通りにも人が歩くだけの小道にもその両側に生い茂る緑の大木には安堵感を覚えます。

 

 

*上は今から早や20年も前の情景です。現在は高層ビルが林立し、デパートやホテルやシネコンやスポーツセンターが建っているかもしれません。